レポート

TDB景気動向調査2025年12月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.6

0.4

2カ月ぶりに改善も、インバウンド変調が一部で顕在化

・概況

『近畿』は一進一退ながらも改善傾向で推移した。企業からは「住宅建築は低調だが、ビル建築は好調」(建設、大阪府)との声があり、「トランプ関税の影響は、想定よりも混乱が少なかった」(輸送用機械器具製造、大阪府)など安堵の声も聞かれた。ただし、円安は物価上昇に拍車をかけ、金利上昇は『不動産』の熱を冷ます恐れがある。また、日中関係悪化に伴うインバウンド減少で、地域や業種によっては影響がさらに広がる可能性もある。政府がまとめた総合経済対策への期待が高まるが、先行きは当面、足踏み状態での推移が続くだろう。

・景気DI

『近畿』は前月比0.4ポイント増の43.6。悪化と改善を繰り返しながらも、月次では2025年の最高となった。全国(44.4、同0.3ポイント増)との格差は▲0.8ポイントと、8カ月連続でマイナス圏ながら、ブロック別順位は『東海』『中国』を抜いて3位に浮上。府県別では「滋賀」が3カ月連続で改善した。

・規模別DI

「大企業」(49.7、前月比1.4ポイント増)は2025年の最高となる一方、「中小企業」(42.5、同0.1ポイント増)は小幅な改善にとどまった。規模間格差は7.2ポイント(前月5.9ポイント)と、再び7ポイント台に拡大。1年間の推移をみると、「大企業」はやや改善したのに対し、「中小企業」は足踏みした。

・業界別DI

10業界中6業界が改善。『製造』が3カ月連続で改善して2025年の最高となったほか、年末の季節需要を取り込んだ『小売』は約1年ぶりに40台を回復した。『サービス』では、日中関係悪化の影響で「旅館・ホテル」(51.9、前月比11.1ポイント減)が大幅に悪化したものの、「広告関連」などが改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比1.0ポイント増)、「6カ月後」(同0.6ポイント増)、「1年後」(同0.7ポイント増)の3指標とも2カ月ぶりに改善。業界別では『卸売』『サービス』など4業界の先行き3指標が改善した。ただし、府県別では中国人観光客の減少が見込まれる「奈良」「和歌山」の先行き3指標が悪化した。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

1.0

輸出関連企業を中心に円安の恩恵、2カ月ぶりに改善

・概況

景気DIは2025年では3月(44.3)に次ぐ水準となった。企業からは「半導体市況の成長や、円安傾向のため」(化学品製造)や「受注は好調」(機械製造)などの声が聞かれた。先行き見通しDIでも3指標すべてで改善しており、高市内閣の総合経済対策への期待感がうかがえた。一方で、「中国のレアアース輸出規制の影響により、物が入荷しない」(電気機械製造)との声も聞かれ、一部業界には日中関係悪化の影響が出始めている。日銀の政策金利上昇による影響もくすぶっており、業界により明暗が分かれる可能性が高い。

・景気DI

「大阪」は前月比1.0ポイント増の44.1と、2カ月ぶりに改善し、2025年では3月(44.3)に次ぐ水準となった。円安効果により輸出関連企業を中心に景況感が改善。全国(44.4、同0.3ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.3ポイントに縮小。都道府県別順位は23位から15位へ上昇。

・規模別DI

「大企業」(49.9、前月比0.6ポイント増)、「中小企業」(42.9、同1.1ポイント増)とも2カ月ぶりに改善した。「中小企業」との格差は7.0ポイントと、依然として高水準にある。なお、「小規模企業」(42.6、同2.1ポイント増)も2カ月ぶりに改善し、2024年1月(42.5)以来の水準となった。

・業界別DI

9業界中7業界が改善した。家具やアパレル、家電分野を中心に『小売』が改善。また、日中関係悪化により旅館・ホテルこそ悪化が目立ったものの、『サービス』が全体的に改善した。『製造』では、自動車が改善をけん引した。一方で、金利上昇の影響を大きく受ける『不動産』は3カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」すべてで改善し、高市内閣の『「強い経済」を実現する総合経済対策』への期待感が広がりだした。業界別では『小売』『卸売』『サービス』は3指標が改善した一方で、『金融』『不動産』『運輸・倉庫』で3指標が悪化した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

-0.2

規模間格差 2002年5月の調査開始以来、過去最大に

・概況

「京都」の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。規模別・業界別で明暗が分かれるなか、企業からは「繁忙期であるはずの年末が昨年より悪い」(製造)、「資材や土地価格の高騰、金利上昇により、新設住宅着工が大幅に減少」(卸売)といった受注環境悪化の声が増加している。日中関係の悪化で「中国からの観光客が減少」(卸売)するなど悪影響も出始めるなか、今後も物価高や人件費上昇、金利上昇など、企業にとってはコストアップが続くことが予想されるため、景況感は停滞が続くだろう。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比0.2ポイント減の42.5に悪化した。『全国』(44.4)との格差は▲1.9ポイント(前月▲1.4ポイント)に拡大し、13カ月連続で『全国』を下回った。『近畿』の順位は4位(同4位)と前月と変わらなかったが、都道府県別の順位は30位(同27位)に後退した。

・規模別DI

「大企業」は52.2(前月48.4)、「中小企業」は40.8(同41.7)、「小規模企業」は40.4(同40.7)となった。「大企業」は前月比3.8ポイント改善した一方、「中小企業」は同0.9ポイント悪化し、規模間格差は2002年5月の調査開始以来、過去最大の11.4となった。

・業界別DI

年末商戦などで『小売』が回復したほか、インバウンド需要の恩恵を受ける『不動産』、金利上昇が追い風となる『金融』が50を上回った。一方、『建設』『サービス』など5業界が悪化、なかでも『卸売』は14カ月連続で40を下回るなど、業界ごとに明暗が分かれた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.7(前月43.9)、「6カ月後」44.7(同44.2)、「1年後」45.8(同44.7)となり、全期間で前月を上回った。『金融』『卸売』は全指標で改善見通しだが、『農・林・水産』『運輸・倉庫』『サービス』は全指標で悪化見通し。規模別は全規模の全期間で改善見通しとなった。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

-0.8

4カ月ぶりの悪化

・概況

「兵庫」の景気DIは4カ月ぶりの悪化となった。「受注は順調である」(建設)など売り上げは堅調に推移しているとのコメントがある一方で、「売上高は上がっているが、売り上げ件数は縮小傾向」(卸売)というように実体的な景況感は依然として厳しいとの声も多かった。また先行き面でも「中国がからむサプライチェーンの動向が不透明」(卸売)など、中国の対日政策の動向や影響を懸念する声も少なくなかった。今後は上昇傾向の金利や為替動向、さらに不安定化する国際情勢の影響が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比0.8ポイント減の43.3で4カ月ぶりの悪化となった。前年同月比では0.2ポイント上回った。全国順位は23位(前年同月26位)。『全国』は前月比0.3ポイント増の44.4で7カ月連続の改善、『近畿』は同0.4ポイント増の43.6で2カ月ぶりの改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.4ポイント増の50.0で2カ月ぶりの改善となった。「中小企業」は同1.0ポイント減の42.4、うち「小規模企業」は同0.2ポイント減の40.4となった。規模間格差は7.6ポイント(前月5.2ポイント)と前月比で2.4ポイントの拡大となった。

・業界別DI

10業界中4業界で改善となった。『小売』は、前月比0.9ポイント増の40.9で2カ月連続の改善。『サービス』は同0.5ポイント増の45.0となった。他方、『不動産』は同3.8ポイント減の43.9、『製造』も同1.7ポイント減の41.8で、ともに3カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.1ポイント増、6カ月後は同0.5ポイント増、1年後は同0.1ポイント増と全指標で改善。業界別では『金融』『卸売』『小売』の3業界で全指標改善。他方、『農・林・水産』『不動産』は全指標で悪化だった。規模別では「大企業」で全指標改善となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.5

1.3

3か月連続で改善し、2023年6月以降で最も高い水準へ

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比1.3ポイント改善した。企業からは「人材不足の将来的な解決の目途が立たない」(専門サービス業)といった声がある一方、「客数、売上ともに増加傾向にある」(不動産)、「客数は前年割れしているものの、客単価の伸びが売上を牽引している」(飲食店)などの声が聞かれ、全体としては景気は回復局面にあるが国際情勢を含め懸念事項には注意したい。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは46.5と前月比1.3ポイント改善した。業界別では改善が4業界、悪化が3業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位を堅持したなか、全国においては7位(前年同月は8位)となった。

・規模別DI

「大企業」が48.5と前月比3.6ポイント、「中小企業」が46.2と同1.0ポイント、「小規模企業」は47.1と同2.4ポイント改善した。また、「大企業」は2カ月ぶりに「中小企業(うち小規模含む)」を上回った。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中4業界で改善、3業界で悪化、1業界で前月比横ばいとなった。『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化した一方で、『農・林・水産』『不動産』が大幅に良化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が47.2(前月45.3)、「6カ月後」が45.7(前月45.2)、「1年後」が47.2(前月45.5)だった。物価高が継続しているなか、高市首相による台湾有事に関する国会答弁が日中関係に影響を及ぼしているなど、景気回復基調にあるが楽観視できる状況ではない。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.5

-0.8

2カ月連続悪化

・概況

奈良の景気DIは前月から0.8ポイント悪化し40.5となった。原材料価格や物流費、人件費の上昇が続くなか、「価格転嫁は一定程度進んだものの、完全な吸収には至っていない」(卸売)ほか、「中国との関係悪化による影響を受けている」(サービス)との声がみられた。中長期的には「利上げの影響を懸念する」(建設)ほか「中国との対立激化など外部環境の先行きがみえない」(卸売)との声が寄せられた。

・景気DI

奈良の景気DIは前月から0.8ポイント悪化し40.5となった。都道府県別順位は38位と前月から変動はなかった。近畿では滋賀、大阪が前月比で改善したが、京都、兵庫、奈良、和歌山は前月から悪化した。近畿は前月比0.4ポイント改善し43.6、全国では同比0.3ポイント改善し44.4となった。

・規模別DI

「大企業」は41.7と前月比3.5ポイント、「中小企業」は40.4と同0.4ポイント、「小規模」は37.6と同1.8ポイント、それぞれ悪化した。なお、規模間格差(「大企業-中小企業」)は1.3と前月の4.4から3.1ポイント縮小している。

・業界別DI

『製造』(39.1)は前月比2.6ポイント改善した。『建設』(43.3)は前月から変わらなかったが、『不動産』(38.9)は前月比1.1ポイント、『卸売』(36.7)は同8.3ポイント、『小売』(36.1)は同0.6ポイント、『サービス』(48.3)は同1.7ポイント、それぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

3カ月後は41.8(前月43.1)、6カ月後は42.8(同46.2)、1年後は42.8(同45.6)で、12月の40.5と比較して短期的・中長期的には改善見通しとなった。ただし、前月に比べると先行き見通しDIはいずれも悪化していることから、現状の不況感を背景に期待値は低いとみられる。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.7

-0.9

2ヵ月ぶりに悪化

・概況

「和歌山」は前月比0.9ポイント減の40.7と2カ月ぶりに悪化した。全体的にDIの水準が低く、物価高により企業の賃上げ効果も相殺されている感は否めず、地元大手スーパーの既存店売上高はほぼ前年並みに留まっているなど、節約志向が続いている。また、県内の新設住宅着工戸数は前年(3,800戸)割れが確実で、和歌山のDIは当面は一進一退が続く可能性が高く、どの業界においても小規模企業にとっては厳しい経営環境となる見込みである。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で0.9ポイント減の40.7と2カ月ぶりに悪化した。改善と悪化を繰り返す一進一退状況が続いており、『全国』(44.4)と『近畿』(43.6)を下回った。

・規模別DI

「大企業」が前月比6.3ポイント増の43.8、「中小企業」が同1.8ポイント減の40.3と「大企業」は改善したもののDIの水準自体は低く、「中小企業」が悪化したことで全体のDIも悪化した。

・業界別DI

『卸売』(40.3)や『製造』(39.4)、『小売』(33.3)は改善したものの、『サービス』(39.8)、『運輸・倉庫』(33.3)は悪化、全体的にDIの水準自体が低く、景況感の実態を表している。

・先行き見通しDI

3カ月後が43.5(前月45.9)、6カ月後が45.2(同47.0)、1年後が45.2(同46.6)と前月に比べて中長期的な見通しが立ちにくい、という意見が多く、保守的な見通しとなった。

「近畿ブロック(2025年12月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)