レポート

TDB景気動向調査2025年12月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.8

0.5

2カ月ぶりに改善

・概況

『九州』の景気DIは、45.8と2カ月ぶりに改善した。企業からは「TSMC効果、インバウンド効果による」(熊本県、医療・福祉・保健衛生)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。原燃料高、人件費負担増に対し、価格転嫁も十分ではないものの、引き続きインバウンド需要に加え、TSMC第二工場着工や新政権への期待感もあり、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(45.8、前月比0.5ポイント減)は2カ月ぶりに改善した。10業界中6業界、8県中5県で改善。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が3カ月ぶりに改善、「6カ月後」が横ばい、「1年後」は5カ月ぶりに悪化。ブロック別では10カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(48.8、前月比0.6ポイント増)は2カ月連続で改善。「中小企業」(45.3、同0.4ポイント増)は2カ月ぶりに改善。33カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回り、規模間格差は前月から0.2ポイント拡大。「小規模企業」は43.8(同1.7ポイント増)と2カ月ぶりに改善。

・業界別DI

『金融』(45.7、前月比1.7ポイント減)など4業界で悪化したものの、『農・林・水産』(48.2、同1.0ポイント増)、『建設』(49.5、同1.3ポイント増)など10業界中6業界で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.3、前月比0.4ポイント増)は3カ月ぶりに改善、「6カ月後」(47.1、前月と同数)は横ばい、「1年後」(47.6、同0.5ポイント減)は5カ月ぶりに悪化した。業界別では『不動産』『卸売』が全指標で悪化した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.7

0.4

2カ月ぶりの改善

・概況

「福岡」の景気DIは、個人消費などの伸び悩みなどがあった一方で、インバウンド需要や設備投資などの高まりもあり、2カ月ぶりに改善した。企業からは「休日中の人流は増加するものの、購買意欲に乏しい」(卸売)などのコメントのほか、「公共工事は、ライフラインに関わるもので安定的に発注されている」(建設)などの声があった。、人件費増、物価上昇などが多くの業界にマイナスとなっているものの、インバウンド効果などによって一部の業界は好調な推移を維持しており、今後も一進一退の状況が続こう。

・景気DI

「福岡」(45.7、前月比0.4ポイント増)は、2カ月ぶりの改善。業界別では、『農・林・水産』『建設』『小売』『運輸・倉庫』の4業界で悪化した。『その他』は横ばい。『金融』『不動産』など5業界で改善。都道府県別順位は8位で前月(9位)からアップ。『九州』8県での順位も前月(5位)からアップし4位。

・規模別DI

「大企業」47.7(前月比0.2ポイント減)は2カ月ぶりの悪化。「中小企業」45.3(同0.6ポイント増)、「小規模企業」45.0(同2.3ポイント増)はいずれも2カ月ぶりの改善。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を2.4ポイント上回った。

・業界別DI

『その他』(50.0)は横ばい。『農・林・水産』(58.3、前月比8.4ポイント減)、『建設』(49.7、同0.6ポイント減)など4業界で悪化。『金融』(58.3、同2.7ポイント増)、『不動産』(51.8、同1.8ポイント増)など5業界で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.8、前月比0.8ポイント増)で改善。「6カ月後」(47.9)は前月と同数。「1年後」(48.6、同0.6ポイント減)は悪化。業界別では、『金融』『不動産』『サービス』で3指標全てが改善。『建設』『小売』ですべて悪化。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.4

-2.9

上下しながら緩やかな回復傾向

・概況

「佐賀」の景気DIは1年間を通じて改善と悪化を繰り返し、上半期はわずかに悪化傾向であったが、下半期は緩やかな回復傾向となった。業界別では良し悪しを見極め難い状況ながら、規模別では中小企業の改善傾向がみられ、規模間格差が縮小傾向で推移した。ただ、先行きに対しては厳しい見方をする企業が多いため、政府の経済政策などは期待されるが、「佐賀」の景気は足踏み感をともない、力強さに欠ける状況が続きそうだ。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは44.4と前月より2.9ポイントと悪化した。2025年をみると、4月以降は改善と悪化を繰り替えし、業界および規模を問わず悪化したが、4月、8月の42.0を上回っており、緩やかな回復傾向が見受けられる。「佐賀」の都道府県別順位は前月の5位から13位に後退した。

・規模別DI

「大企業」は46.2と前月比2.4ポイント悪化、「中小企業」は44.0で同2.9ポイント悪化、そのうち「小規模企業」は39.6と同3.7ポイント悪化と、全規模で悪化した。「中小企業」の悪化幅が大きく、規模間格差は2.2に拡大した。

・業界別DI

『卸売』は価格転嫁と年末需要などで4か月連続で改善したが、その他の業界ではすべて悪化している。価格転嫁の寄与で売上は伸びているが、仕入と経費の上昇で利益を圧迫しており、足踏み感がみられる企業が多い。先行きとしても改善または悪化を見込んでいる業界に分かれており、動向が注視される。

・先行き見通しDI

「3か月後」は46.1(前月47.6)、「6か月後」は45.0(同47.6)、「1年後」は45.0(同47.0)と、前月に反し各指標で悪化した。新政権による経済政策への期待は大きいものの、人手不足などで動きの鈍化を懸念する声が多く聞かれた。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

2.7

2カ月ぶりに改善

・概況

「長崎」の景気DIは前月比2.7ポイント増と2カ月ぶりに改善した。「大手は堅調だが中小は企業格差が大きい」(農・林・水産)などの意見はあるが、IT需要の拡大やスタジアムシティの盛り上がりなど、全体的に上向きの声が聞かれた。ただ、半導体業界の生産調整による同業界の需要の頭打ちや原材料の高騰、金利の上昇を不安視する声も聞かれた。「長崎」の景況感は、造船業界をはじめ製造業のこれからの伸びを期待する中でも、外部環境の影響もあって今しばらくは一進一退の状況が続くと見込まれる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比2.7ポイント増の44.1と2カ月ぶりに改善した。『九州』8県中、本県を含めて5県の改善となり、九州ブロック内順位は前月から1つ上がって6位となった。都道府県別順位は、前月の37位から15位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比11.8ポイント増の46.4、「中小企業」は同1.2ポイント増の43.7、「中小企業」のうち「小規模企業」は同2.2ポイント増の39.9となった。各規模とも改善したが、中でも「大企業」が大幅に改善したことで、規模間格差は前月比10.6ポイント拡大して2.7となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『建設』『不動産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の7業界と前月のゼロから大きく伸ばし、悪化した業界は『金融』『製造』の2業界となった。とりわけ『小売』『運輸・倉庫』は前月から大幅に改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.4(前月43.2、前月比2.2ポイント増)「6カ月後」44.7(同43.0、同1.7ポイント増)「1年後」44.2(同44.3、同0.1ポイント減)と先へ行くほど悪化の見通しとなった。業界別でみると『製造』は先へ行くほど改善見通しだが、『小売』は逆に悪化見通しとなった。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.8

0.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「熊本」の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.8と2カ月ぶりに改善した。「受注残額の上昇と取引先の次年度の計画が明るい」(製造)など明るい話題が見られた一方で、「特需的な動きを除けば地方都市特有のマーケットの縮小傾向に歯止めがかからない」(不動産)と不安を示す声は多い。TSMC第2工場の工事が停滞していることへの懸念のほか、不安定な国際情勢、日中関係の悪化により今後も景気への悪影響を及ぼす可能性があり、景気は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは46.8で前月比0.3ポイント増と2カ月ぶりに改善した。また、『九州』(45.8)も前月比0.5ポイント増となり、「全国」(44.4)は同0.3ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第6位(前月第7位、前年同月第3位)と前月から1ランク上がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは51.5と前月から3.5ポイント減となり、「中小企業」は46.4と同0.7ポイント増となった。29カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「大企業」が悪化し「中小企業」が増加したため、差は5.1ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『建設』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の4業界となった。一方で悪化した業界は『金融』『不動産』『卸売』『サービス』の4業界となり、『農・林・水産』は横ばいだった。マンション空室率の高まりや資材価格および人件費の上昇が原因となり悪化した業界が多かった。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が47.3(前月48.3)、「6カ月後」は46.0(同47.9)、「1年後」は46.7(同47.4)となった。ハウスメーカー業界の不振や不動産市況の悪化が影響し「3カ月後」「6カ月後」「1年後」はいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.9

0.5

2カ月連続で改善

・概況

中国との外交問題の長期化や、日銀の金利上昇の施策による円安で輸入品価格の更なる値上げが予想され製造業は悪化。一方、建設業は行政の年度末あるいは4月以降の工事発注増を期待して改善。こうしたなか、取適法の施行により具体的な値上げ交渉の環境が整うとの意見がある一方、金利上昇により支払利息の増加は中小企業にとって重荷となることが予想される。併せて、人件費の増加や資材価格の高値、アメリカの南米国への攻撃から海外情勢は一層変化する。これらの状況から、県内の景況感は減退が予想される。

・景気DI

「大分」は前月比0.5ポイント増の47.9となり、2カ月連続で改善した。全国順位は第3位(前月第3位・前年同月第2位)となり、前月から横ばいとなった。判断の分かれ目となる「50」は12カ月連続で下回った。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.5ポイント減の48.3となった。「中小企業」は同1.0ポイント増の47.8、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.5ポイント増の45.5となった。規模間格差は0.5となり、2カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『建設』『小売』『運輸・倉庫』が改善した。『建設』は前月比6.0ポイント増の50.0、『小売』も同4.8ポイント増の50.0となった。一方、『製造』は同3.0ポイント減の48.1と2カ月連続で悪化し、「50」を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」49.4(前月49.2)、「6カ月後」47.9(同49.7)、「1年後」48.1(同51.6)となり、「6カ月後」と「1年後」は前月から悪化して、「1年後」は再び「50」を下回った。業界別では、『製造』『小売』『サービス』が3指標ともに引き続き「50」以上となった。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.6

-0.6

2カ月ぶりに悪化

・概況

「宮崎」の景気DIは39.6で、前月比0.6ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。一方で物価高への対策として、宮崎県内の主要自治体で2月以降に順次、大規模なプレミアム付商品券や給付が実施される。これにより、冷え込みがちな冬の消費が一時的に下支えされる見通しである。このほか、「日本のひなた宮崎 国スポ・障スポ」に向け、1月以降はプレイベントや会場整備が本格化するほか、プロ野球キャンプ(2月)がスタートするなど、一般の観光客以外の「ビジネス・スポーツ関係」の宿泊需要が春先にかけて高まる見込みで、宮崎県内の経済活性化に期待が寄せられている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは39.6で、前月比0.6ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。『九州』(45.8)と比較して6.2ポイント減、全国(44.4)と比較しても4.8ポイント減となった。全国順位に関しては、41位となり前年同月順位よりも悪化した。

・規模別DI

[大企業」は50.0で前月比2.4ポイント減、「中小企業」は38.3で同0.5ポイント減となった。企業間格差(大企業-中小企業)は11.7となり、同1.9ポイント縮小した。「中小企業」に含む「小規模企業」は36.2で同1.0ポイント減と悪化した。

・業界別DI

『製造』は37.9で前月比1.0ポイント減、『非製造』は39.9で同0.5ポイント減で『製造』、『非製造』ともに悪化した。『製造』は「鉄鋼・非鉄・鉱業」、「建材・家具・窯業・土石製品製造」が悪化、改善する業種はなかった。『非製造』は「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」、「家電・情報機器小売」など改善する一方で「広告関連」、「専門商品小売」が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」見通しに関しては、41.3で前月比2.8ポイント減、「6カ月後」は44.4で同1.0ポイント増、「1年後」は45.7で同0.1ポイント減となった。また『九州』、『全国』と比較しても「宮崎」の先行き見通しDIはそれぞれを下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.6

0.9

2か月ぶり改善

・概況

「鹿児島」の景気DIは43.6と2カ月ぶりの改善となり、9カ月連続で悪化と改善が続いた。企業からは依然として「物価高」や「人員不足」、「消費減退」、「原料調達難」などのキーワードが多く聞かれたほか、「倒産」や「支払遅延」などを危惧する声も目立った。一方、「原料調達に目途がついた」など対策の成果が上がった企業や「減税」などへの期待、「消費活動の回復」を感じている企業もみられるなど、今しばらくは一進一退の状況が続くものと推察されるものの、徐々に改善が進みつつあるようだ。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは43.6と前月比0.9ポイント改善した。「九州」は同0.5ポイント改善の45.8、「全国」は同0.3ポイント改善の44.4となった。全国的に改善傾向ながら、「鹿児島」の改善幅は平均値を上回り、都道府県別順位は21位(前月27位)に上昇した。ただし、9カ月連続で悪化と改善を繰り返している点は留意が必要である。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.8ポイント改善の57.1であったほか、「中小企業」は同0.5ポイント改善の42.5となった。また、「中小企業」のうち「小規模企業」は43.6と同1.1ポイント改善するなど全規模において改善したものの、「大企業」の改善幅が大きかったことで、規模間隔差(大企業-中小企業)は3.3ポイント拡大し14.6となった。

・業界別DI

改善は『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界、横ばいは『農・林・水産』『金融』の2業界、『建設』『卸売』の3業界が悪化した。改善が5業界以上となるのは2カ月ぶり、悪化が2業界以下となるのは4カ月ぶりと一進一退の状況ながら、改善の兆しがみえる状況にある。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.0と前月比2.1ポイントの改善、「6カ月後」も47.0と同2.9ポイントの改善となり、「1年後」も48.2と同2.9ポイントの改善となった。近時は短期的には悪化を危惧する声が多かったが、全項目で一定の改善が進むなど、先行きに対し明るい見方が広がっている結果となった。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

54.8

-0.2

2カ月ぶりに悪化

・概況

「沖縄」の景気DIは、2カ月振りに悪化した。これは、観光業は引き続き好調だが、物価高による消費への影響や、地価や建設費高騰により大型投資以外の工事案件や売買案件が減ったとの声が反映された結果だと思われる。また、経済対策への期待感から先行き景気DIは改善しているが、国際情勢が不安定で将来を不安視する声もあるため、景況感は引き続き注視していく必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比0.2ポイント(以下、P)減の54.8となった。業種別では7業界中、4業界が悪化した。また、都道府県別順位は33カ月連続で全国1位となり、『全国』(44.4)、『九州』(45.8)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(66.7、前月比横ばい)で3カ月連続で横ばい、「中小企業」(54.4、前月比0.2P減)で2カ月振りの悪化、「中小企業」のうち「小規模企業」(52.7、前月比1.9P増)は3カ月連続の改善となった。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、『金融』(16.7P増)、『建設』(2.7P増)、『サービス』(1.0P増)の3業界が改善したが、『不動産』(6.9P減)、『製造』(0.5P減)、『卸売』(0.4P減)、『小売』(2.8P減)の4業界が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が55.6(前月55.8)で悪化したが、「6カ月後」は52.0(前月51.9)で3カ月連続改善、「1年後」は52.0(前月51.9)で2カ月連続改善となった。

「九州ブロック(2025年12月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)