レポート

TDB景気動向調査2025年12月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

0.7

12カ月ぶりの40台

・概況

景気DI(40.1)は、前月から僅かに改善し、12カ月ぶりに40台に達した。コメをはじめとして鶏卵などの農畜産物の価格上昇から引き続き『農・林・水産』が全体をけん引。さらに、飲食を伴う人流の増加や、年末年始による物流の増加から『サービス』や『運輸・倉庫』でも東北全体のDIを上回り、景気動向はやや回復の兆しが見える。一方で、物価高騰の影響による消費の鈍化や、日中関係の悪化が懸念材料となり、景気回復の加速は見込みづらく、当面は足踏み状態が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DI(40.1)は前月比0.7ポイント増加し、2カ月ぶりに改善した。『全国』(44.4)との格差は4.3で前月比0.4ポイント縮小した。県別では、改善4県(「岩手」「宮城」「山形」「福島」)、悪化2県(「青森」「秋田」)となった。

・規模別DI

「大企業」(43.3)が前月比0.1ポイント、「中小企業」(39.7)が同0.7ポイントそれぞれ増加した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は3.6となり、同0.6ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『運輸・倉庫』『建設』『不動産』などの5業界、悪化が『卸売』『農・林・水産』『小売』の3業界、横ばいが『金融』『その他」の2業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(57.1)が最も高く、『小売』(34.3)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.5(当月比1.4ポイント増)、「6カ月後」は42.7(同2.6ポイント増)、「1年後」は43.9(同3.8ポイント増)となった。前月との比較では3指標すべてで改善した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

「青森」の景気DIは41.3となり、前月から1.1ポイント低下し、2カ月ぶりに悪化した。業界別では、秋の観光シーズンを終えたなかで発生した地震の影響により観光客の入り込みも落ち込み、「旅館・ホテル」のDIは低水準となった。また、地震の影響により一部『製造』で一時的な稼働停止が生じたほか、関連する『運輸・倉庫』の稼働も低下したことで、全体として悪化した。物価高のほか最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まっており、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは41.3となり、1.1ポイント悪化した。都道府県別順位は36位と前月の31位からダウンし、長らく東北6県の中ではトップだったが、今回2位(東北1位は「福島」)に後退した。秋の観光シーズンを終えたことでインバウンド需要も一服し、「旅館・ホテル」のDIは低水準となった。

・規模別DI

「大企業」は、43.3と前月比6.7ポイントの大幅低下、同様に「中小企業」も低下したが、「小規模企業」については改善した。12月に発生した地震の影響により、一部業種で一時的な稼働停止が生じたこともあり、規模別に差が出ている。

・業界別DI

業界別では、青森県を襲った地震の影響により一時的な稼働停止が生じた『製造』が悪化し、一部連動する『運輸・倉庫』のほか、『卸売』も悪化した。一方、クリスマス・年末商戦を受けて、「飲食料品小売」が牽引するかたちで『小売』は改善した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」のいずれも前月比改善した。『製造』と『小売』が改善傾向にある一方、『運輸・倉庫』は悪化傾向にある。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.6

1.9

2カ月ぶりに改善

・概況

景気DIは2カ月ぶりに改善したが、4カ月連続で40を下回った。「大企業」は判断の分かれ目となる50を13カ月連続で下回り、「中小企業」は15カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『卸売』や『小売』の苦境が目立ち、先行き見通しの「6カ月後」と「1年後」はブロック最低にとどまる。円安や物価高、金利上昇の影響に加え、増加基調にある県内倒産件数にも留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.9ポイント増の39.6となり、2カ月ぶりに改善したが、4カ月連続でDIは40を下回った。2025年に40を上回ったのは8月の1度のみ。都道府県順位は全国41位(前月は全国45位、前年同月は全国43位)。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.2ポイント増の45.5となったが、判断の分かれ目となる50を13カ月連続で下回った。「中小企業」は同1.8ポイント増の38.9となったが、15カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は6.6(前月は6.2)。

・業界別DI

『サービス』が前月比2.3ポイント増の43.5、『建設』が同7.6ポイント増の44.9といずれもやや持ち直した。一方で、『卸売』が同5.8ポイント減の29.2に落ち込み、『小売』の29.6とともに、30を下回る結果となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.2、「6カ月後」が40.7、「1年後」が41.4となり、「1年後」は前月よりやや悪化したが、「3カ月後」は前月よりやや改善した。3カ月連続ですべての項目が40を超えた。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

0.1

12カ月連続で40を下回る

・概況

景気DI(38.6)は前月比僅かに改善したものの、12カ月連続で40を下回り、都道府県別順位は2025年8月以来4カ月ぶりに最下位に落ち込んだ。業界別では、『運輸・倉庫』が前月から大幅に改善した一方、『小売』が4カ月連続で20台で推移しており、個人消費の落ち込みや価格転嫁が進んでいない影響がみられている。高市政権のもと、物価高対策、成長産業への投資などに期待感は高まっているが、この間も物価高が続いており、景気動向も低調な推移が見込まれる。

・景気DI

「宮城」の景気DI(38.6)は前月比0.1ポイント増となったものの、12カ月連続で40を下回った。『全国』(44.4)との比較では5.8ポイント下回り、格差は前月から0.2ポイント拡大した。都道府県別順位は2025年8月以来4カ月ぶりに最下位に転落した。

・規模別DI

「大企業」(44.4)は前月比2.1ポイント減少した一方、「中小企業」(37.9)は同0.3ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は6.5で同2.4ポイント縮小した。

・業界別DI

改善は『運輸・倉庫』『製造』『建設』などの4業界、悪化は『サービス』『小売』『卸売』などの4業界、横ばいは『農・林・水産』『金融』の2業界となった。『その他』を除く9業界では『運輸・倉庫』(54.8)が最も高く、『小売』(27.8)が最も低かった。なお、『小売』は4カ月連続で30を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.8(当月比1.2ポイント増)、「6カ月後」は41.9(同3.3ポイント増)、「1年後」は43.8(同5.2ポイント増)となった。前月との比較では3指標すべてで改善した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

-1.5

前月比で悪化、30台へ

・概況

景気DIは、『東北』が前月比0.7ポイント、『全国』は同0.3ポイント改善している。『東北』では、本県と「青森」が悪化、「岩手」「山形」「宮城」「福島」がやや改善している。秋田県内では、米の価格高騰で農業機械、農業資材など農家や農業団体の消費が伸びた一方で物価高により依然として一般の消費は低迷しており、様々な業種で影響が出ている。加えて中国との外交問題もあり、今後どのような影響が県内の景気に及ぼすか不透明であり、景気動向は足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

「秋田」の景気DIは39.5と11月から1.5ポイントダウンした。『東北』6県では前月の第3位から第5位に後退し『東北』(40.1)を0.6ポイント下回った。また『全国』(44.4)を4.9ポイント下回り、都道府県順位は前月の第40位から第43位に後退した。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(44.4)、「中小企業」(39.0)ともに前月からダウンした。中でも小規模企業が前月比1.9ポイント悪化した。また、「大企業」と「中小企業」の格差は拡がった。

・業界別DI

業界別では、『サービス』(46.5)の1業界のみが前月比で改善した。『不動産』『その他』の2業界は横ばい、『建設』『農・林・水産』『小売』『卸売』『製造』の5業界が悪化した。悪化したなかでは、『農・林・水産』(52.4)の前月比8.7ポイント減が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」41.0、「6カ月後」42.3、「1年後」43.0と今後緩やかに回復するとの見方だが依然として低位で推移する見通しとしている。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.0

2.5

2カ月ぶりに改善

・概況

「米価格高騰による収益増加」(農・林・水産、小規模企業)、「年末年始に向けた物量の発送が昨年より多い」(運輸・倉庫、大企業)、「消費喚起による売り上げの増加」(卸売、中小企業)など、県内企業からの前向きな声は増えた。一方、「日中問題による景気後退など、今後の経済の見通しが不鮮明」(建設、小規模企業)、「住宅着工数の減少」(不動産、小規模企業)、「少子化、リユース、購買の変化による衣料の販売不振」(卸売、中小企業)など、依然として厳しい声も多く残り、各業界や事業規模によって二極化している動向が散見される。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比2.5ポイント改善して40.0となった。『全国』のDIは44.4と同0.3ポイント改善し、『東北』のDIも同0.7ポイント改善し40.1となった。「山形」の景気DIが40に達したのは2年ぶり。『全国』のDIは7カ月連続の改善を示した。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.5ポイント改善して42.4を示した。「中小企業」は同2.3ポイント改善の39.8となり、うち「小規模企業」は同2.0ポイント改善して39.6となった。3規模ともに前月比改善し、なかでも「小規模企業」は3カ月連続の改善となった。

・業界別DI

業界別DIは『金融』『不動産』が前月比横ばい、『農・林・水産』『建設』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の7業界においては改善を示した。全体において悪化した業界はなく、山形県内の景気DI改善を裏付ける内容となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.3ポイント改善の40.6となった。「6カ月後」は同2.4ポイント改善し44.4、「1年後」は同1.7ポイント改善の45.8を示し、いずれの指標ともに前月比改善した。なかでも「6カ月後」「1年後」は2カ月連続の改善となり、先行き回復を見込む数値を示した。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

1.2

4カ月連続で改善

・概況

7業界が改善して「福島」の景気DI(42.5)は前月比1.2ポイント上昇、4カ月連続で改善した。しかし、企業からは「公共工事が減少」「案件が少ない」(各建設)、「人材不足に危機感があるほか、海外情勢にも注視が必要」(製造)、「販売数量が前年を下回っている」(卸売)、「熊出没のニュースに加え、物価高により利用者が減少」(サービス)などの声が届いた。物価高による節約志向定着への懸念など、厳しいコメントが多数を占めるほか、海外情勢の動向にも注視が必要とみられ、当面の景気動向も引き続き弱含みで推移する可能性が高い。

・景気DI

「福島」の景気DIは、42.5と11月を1.2ポイント上回って、4カ月連続で改善した。『全国』の景気DIは、前月(44.1)を0.3ポイント上回り、44.4となった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第38位から第30位となった。

・規模別DI

「大企業」(40.0)は前月比0.7ポイント上昇、「中小企業」(42.8)は同1.3ポイント上昇、「小規模企業」(42.5)は同4.1ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は▲2.8となり、4カ月連続で「中小企業」が「大企業」を上回った。

・業界別DI

『製造』は悪化したが、『不動産』『農・林・水産』『小売』『サービス』『建設』『卸売』『運輸・倉庫』の7業界が改善した。『建設』は8カ月連続、『卸売』は4カ月連続で40台を維持したものの、『小売』は16カ月連続、『運輸・倉庫』は3カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは4業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『金融』は当月(38.9)から11.1ポイント、『製造』も同(40.6)から7.3ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が、同(42.9)から3.8ポイント悪化の39.1を見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2025年12月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)